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「フィンランド症候群」に惹かれつつ
 70歳の時に前立腺がんにかかり、骨転移があるため手術も放射線治療も行なえず内分泌療法だけを受けてきました。それから4年半、抗癌剤(カソデックス)がよく効いてPSA(前立腺特異抗原)は当初の24からコンマ以下に下がったまま推移、副作用以外は症状がなく病人らしくもなく過ごしてきました。しかし、この薬は連用するとがんに対する抵抗力ができて効かなくなってくると予告されていたとおり、ここへ来てPSAが急上昇したので、しばらく投薬を中断し、MRIなどで他に転移していないか精査するとのことです。 ... ...続きを見る

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2010/10/07 08:20
少年期に敗戦を迎えた世代
 私が敗戦を迎えたのは10歳の時。一般的な世代区分によると、戦中世代のどん詰まりに位置します。東北の中都市とはいえ空襲を経験し、長く続いた食糧難の影響はいまに至るまで貧弱な体格に刻印されています。しかし自分を戦中世代と称するにはあまりに幼かったし、かといって戦後のアプレゲールに伍するにはまだ早すぎました。そういうあいまいな立ち位置に宙釣りされてきた居心地の悪さがずっとあったのです。 ...続きを見る

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2010/07/30 11:41
75歳にしてカント
 NHKテレビの「ハーバ−ド白熱教室」を興味深く見ていましたが、第6回にきて「動機と結果 どちらが大切?」のとき。マイケル・サンデル教授の例のごとき懇切な説明にもかかわらず、自分には半分も理解できないのに愕然としました。この愚鈍な頭脳のためであることはもちろんですが、これまでカントをろくに読んでこなかったことにも一半の原因であることは明らかでした。 ...続きを見る

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2010/07/18 12:48
恵まれ過ぎた時代、今は昔
 相撲の力士が引退していくらも日がたたない頃、土俵下で現役力士たちの対戦を見ていると、「怖い」と感じるそうです。つい先日まで自分も戦っていたのに。  勤めを定年退職して十数年たった私の場合、現役で働いている人たちに対して似たような思いを抱くことがあります。 ...続きを見る

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2010/06/10 16:13
加藤周一氏、幽霊と語る
 25日に日仏会館でドキュメンタリー映画の上映と講演会がありました。題して「しかしそれだけではない 加藤周一 幽霊と語る」と、それをプロデュースした桜井均氏の話です。加藤氏は2008年12月に89歳で逝去されましたが、はじめ医師として社会に出つつ、文明批評や文芸評論で活躍し「日本文学史序説」なる大著を世に問い、30年前の私などすっかり圧倒されて以来の愛読者でした。だからこそあの明晰にして博識な知性の人が、晩年に至ってオカルト的なものへ接近したのかとの意外性から、さっそく駆けつけたのです。 ...続きを見る

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2010/05/26 21:02
うわぁ、75歳になった
 若い頃、老人を見ていて不思議でならなかったことがあります。長い歳月を生きて年老いた今、いつ死んでも惜しくない命ではないか。だのに何故あのように身体をいたわって、おっかなびっくりで日を送り命を惜しんでいるのだろうか、と。あとで知ったのですが、それは昔からそのようで、たとえば一休禅師は数奇にして不羈奔放な88歳の生涯を送ったあげく、臨終に際して「死にとうない」と呟いたと伝えられます。 ...続きを見る

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2010/05/21 20:46
あとは野となれ 死後のこと
 映画「七人の侍」を見たずっと以前、ラストシーンで戦いに死んだ侍たちを葬った四つか五つの土饅頭が、荒涼とした野の霧の中に見え隠れしていました。それを見たとき、「ああ、いいなあ。死後はあんなふうでありたいなあ」と感じたのはなぜだったのでしょう。  後年、青山墓地を散策したとき、江戸時代の名のある人の墓とおぼしい、台座の上に2メートル以上もある立派な墓石が、学校の教室ほどの面積を囲った地所に一基だけ堂々と建っています。しかし今は詣でる人も手入れする人もいない様子で、荒れ果てていました。それも二、三... ...続きを見る

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2010/05/04 12:45
「昭和人」の超越存在アレルギー
 およそ超越的なものを崇める気持ちが、私はきわめて薄い人間です。神社仏閣に詣でることがあっても、美的な鑑賞こそすれ神的霊的なものを感得したことはついぞありません。パリのノートルダム寺院の大聖堂を訪れた際も、その荘厳さに感服はしたものの、それ以上のものは感じませんでした。  息子たちの高校時代には京都に住んでいて、北野天神社がそう遠くないところにありました。大学受験が近づくと受験生も親たちもこぞって合格祈願に出かけ絵馬を納めます。ところが息子は、「クラスで聞いても親がお参りに行かないのはうちくら... ...続きを見る

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2010/04/20 16:02
「花のした」と「枯野」
 西行のあまりにも有名な歌、「願はくは花のしたにて春死なん そのきさらぎの望月の頃」は、彼が七十三歳の生涯を閉じる前年に詠まれました。辞世といっていいでしょう。亡くなったのは旧暦の二月十六日、望みの満月と一日しか違わず、そのことは当時の人びとに異様な感動をまき起こしたと伝えられています。 ...続きを見る

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2010/04/14 11:50
マラソンランナーと闘争心
 「あらゆるスポーツのうち、最も激しい闘争心が発揮されるのは何か」について、ある心理学者のグループが研究した結果を読んだことがあります。誰でもすぐに思うのは、ボクシングとか格闘技の競技者がトップだろうということです。ところが意外や意外、1位が長距離レース、2位がアイスホッケーというものでした。  これは調査のやり方でも様相が変わるものと思われ、必ずしも絶対とは言えまいとの保留を付しておきます。 ...続きを見る

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2010/04/11 12:14
戦略的思考と「いま、ここ」
 中長期的な未来を予測し計画を立てることが、日本人はことのほか苦手だといいます。それを文明論的に見れば、古くは中国、近代以降は欧米からの圧倒的な影響力のもと、自前の見通しを立てるよりも、先進地域の動向をいち早く察知してフォローすることが何より重要だったからでしょう。これを気にしたらしい新政権は、国家戦略局なるものを立ち上げました。個人的なレベルでも、目先のことで頭がいっぱいで、未来を見通す戦略的思考は不得手なうえ億劫がっているように見受けられます。 ...続きを見る

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2010/04/08 20:25
”熱中人”って何なのだ?
 NHKテレビの長寿番組「熱中時間」が終わりました。6年間で登場した「熱中人」は500人以上とか。ユーモラスに仕立ててあるものの、いつも見終わった後にずっしりした感動が残りました。その生き方についてです。 ...続きを見る

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2010/04/02 17:17
人生は努力?運?
   昨年のいつ頃だったか、新聞にあるアンケート調査の結果が載っていました。「人生を決めるのは努力か、運か」━━集計した結果は努力51%、運49%というきわどいものでした。自分一個の過去を振り返ってみても、これでずいぶん努力したからと考え出すと、努力のほうに7〜8割やりたくなります。一方、あの節目節目でうまく行ったのは運が良かったからだと考えていくと、こっちのほうが7〜8割だという気がしてきます。つまりは半々か、と認めることになりそうです。 ...続きを見る

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2010/03/25 18:00
情報洪水の中の情報難民
 報道によると、DNA型が一致したとして警察がある男性を逮捕したが、実際は事件とは無関係の別人だった。警察庁が管理するDNA型データベースに誤った情報が登録されていたためで、「DNA鑑定の精度は飛躍的に高まっているが、人為的とみられるミスが絡んだ」ことによるそうです。このところ「DNA鑑定の結果によると」とかまされると、「ははーっ」と黙らされてしまう傾向がありますが、この件はほとんどブラックユーモアの域に達しています。 ...続きを見る

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2010/03/20 17:44
「疲れる社会」がやってきた
 先日のテレビで三谷幸喜さん作・演出の演劇「幕を降ろすな」を見ました。いつものように、協力してあることを実現しようとする登場人物たちの前に次々と難題が降りかかり、四苦八苦してそれを解決して何とか成功に漕ぎつけるという筋です。今回は「マクベス」を上演しようとする劇団の監督や役者、裏方が、舞台の袖で繰り広げるてんやわんやの騒ぎを演劇にしたものでした。 ...続きを見る

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2010/03/17 17:07
坐禅、日常にある異界
 ふだん何もせずに何かを待っている時、たいていは退屈と空白に耐えて時間が過ぎるのを待つだけです。ところが坐禅をしている間は、何も見えず聞こえず、動くこともしゃべることもできない。退屈の極みであっても不思議はないのに、坐っていて脚が痛くなったり眠くなったりすることはあっても、退屈を感じることはないのが妙です。逆に終わった後、何か大事なことを為したような充実感を覚えるのが常です。 ...続きを見る

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2010/03/15 09:23
人類、この暗澹たる未来
   ロシアの治安状況について書かれたものを読んでいたら、「良い人と悪い人の割合は、ほかのいずれの国とも同じようなものだ」とありました。してみると、人間の中に潜む善良な遺伝子と邪悪な遺伝子の分布状況は、民族や社会の違いを超えて一定なのかもしれません。 ...続きを見る

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2010/03/13 17:09
腰痛で足止め、ならば
 思い当たる原因はないのに、一週間前から腰痛に悩まされています。後期高齢期を目前にした、加齢痛というべきか。整骨医に通っているが、はかばかしくない。ジョギングはおろか、早朝の坐禅も10分か20分で切り上げるなど、なんとも意気が上がりません。 ...続きを見る

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2010/03/12 05:03
滅びの美学と日本人
   わが国では自殺者が年間3万人を超える事態がもう12年も続いています。不況の深刻な副産物のひとつであることは確かですが、それが犯罪数を押し上げることにつながっていないのはやや奇妙に思えます。ひったくりや窃盗など生計型犯罪は確かに増えているものの、殺人は2007年、2008年(1097件)と連続して戦後最低を更新し、強盗も2004年から連続して減少しています。日本はアイスランドと並んで、人口当たりの殺人件数が世界で最も少ない国なのです。 ...続きを見る

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2010/03/08 14:58
老いて得たこと失ったこと
 現役で仕事していた頃、定年後の生活を想像すると胸が躍りました。まず、好きなマラソンの成績を上げるため、練習時間をたっぷり取って十分走り込もうと。さてその日々がやって来て走行距離を大幅に増やしたところ、途端に故障を連発。加齢に伴っていつの間にか足腰の衰えが進んでいたのでした。治しては走り治しては走り、結局大したタイムもレース成績も残せないまま下り坂を降りて来ました。 ...続きを見る

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2010/03/06 08:02

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